なまもの、けものブログ

70%ニートが、なんてことないことをかくブログです。

いらなくなった本を「寄贈する」という選択肢。

今日は夕方、近くの図書館に行ってきました。

 

私が図書館に入るときと同じタイミングで、

おばあちゃんが一人で手提げいっぱいの本を抱えて

入っていきました。

 

「このおばあちゃん、すごい借りたな、

というか借りて持って帰る時も大変だっただろうなー」

 

と、思いながら、

返却/貸出スペースのそばにある「新着図書コーナー」を見に行きました。

 

すると、返却スペースにさっきのおばあちゃんが。

 

ドスッとカウンターの真ん中に手提げを置きました。

 

「期限内に全部読んだのもすごいな。」

と思いながら注目していると、

おばあちゃんが一言。

 

「あの、これ寄贈したいのですが。」

 

そうです。おばあちゃんは本を返しに来たのではなく、

寄贈しに手提げの紙袋いっぱいの本を抱え図書館にやってきたのです。

 

一般の人が図書館に本を寄贈する場面に遭遇するのは初めてでしたので、

新着図書コーナーから引き続き聞き耳を立てていました。

(静かな図書館ほど聞き耳をたてやすい環境はないなとそのとき思いました。)

 

おばあちゃんが図書館スタッフの人に言うには、

今日一日部屋の整理をしていたけれど、

本を置くスペースがどうもなくなってきた。

しかし、捨てる気にはならないし、

図書館だったらいろんな人に読んでもらえて本も嬉しいだろうと思って

いきなりだけれど持ってきてしまった、

 

とのこと。

(5分くらいかけて詳しく話していました。)

 

本がやはり重かったのか、

「いきなりすみませんねー」と少し疲れ気味に説明していたのですが、

顔をちらっと見ると、ものすごく柔らかい表情で、笑っていました。

 

「いえいえ、大歓迎です」

と、図書館スタッフの方は答えていました。

 

確かに、「多くの人に読んでもらいたい」のなら、

捨てるよりも、売るよりも、図書館に寄贈する方がいいのかもしれないなと

思いました。というか、自分が本だったらそうしてもらいたい。

 

おばあちゃんの説明が終わると、図書館スタッフの方は

おばあちゃんの名前と住所を聞こうとしました。

「お礼状をお送りしたい」からだそうです。

 

おばあちゃん拒否。

「お礼されるようなことじゃないわよ。

じゃあ、よろしくお願いします。」

そう言い残すと、おばあちゃんは帰りました。

 

どんな本を寄贈したのかわかりませんでしたが、

傍からこっそり一部始終をみていた私は

ばあちゃんかっけーな、と思いました。

 

外見だけみるとあまり生気は感じないけれど、

話し出すとものすごくハキハキとしていましたし、

笑顔がかわいらしい。

考え方も、すぐ行動に移すところも、素敵でした。

 

こういう人たちが日本を支えてきたのかと思うと、

誇らしくなりましたし、

外見はヨボヨボだとしても、たくさん学ぶところがあるなと

感じました。

高齢化社会、と言われるときは

マイナスな面ばかり取り上げられますが、

それだけ世代を超えて学ぶことも、伝え合うこともできると

ポジティブに少しは考えてもいいのかなと感じました。

 

まあ、すべてがいいじいちゃんばあちゃんばかりではありませんがね。

 

それにしても

本を捨てる、売る、のではなく地域のために、未来のために贈る。

 

この選択肢はアリだな、と感じました。

寄贈によってちょっとした住民サービスが付与されるとかあったら、

もっとこの流れも促進されるのかもしれません。

 

ではまた。