なまもの、けものブログ

70%ニートが、なんてことないことをかくブログです。

おじさまたちの最後の楽園―『噂の東京マガジン』は「セクハラ番組」なのか―

セクハラヤジ問題で浮き彫りになった

女性に対する意識。

 

この問題についてツイートしている人たちも、

墓穴を掘るようにして

自らのジェンダーに対する意識の欠如を

明らかにしている人が目立ちます。

 

おじさま方たちの女性に対する意識というのは

ここまで根が深い問題なのか、

とも思いますし、

 

こういう意識だから、いままで女性に対し横柄な態度をとれていたのか

と納得さえします。

 

おじさま方、というとざっくりしていますが、

僕の考えで言うと、

噂の東京マガジン』を見て違和感なくゲラゲラ笑えるおじさま

です。

 

この番組、以前から見ていて

「こんな番組みて、純粋に楽しめる人いるのかな」

と思っていたのですが、

セクハラヤジを平気で言える(orあまりおかしいと思わない)

人にとっては、心地よいエンターテイメントなのかもしれません。

というか、この番組は

そういうおじさまに向けて作られている。

 

もしくは、

ジェンダー論のレポートのネタを探している大学生に向けて作られている。

(この番組ほどおいしいネタないかもしれません。)

 

 

顕著なのは

やって!TRY」。

若い女性が料理をつくる、というコーナーです。

 

若い女性に限定している点からして、

「女は家で料理」というおじさま方の常識が見え隠れします。

おじさま方(だけの)常識が。

 

VTRでは決まって、できない女性を写します。

ネチネチツッコミを入れるおじさまナレーターの声とともに。

 

 

料理をする女性のそばにいる番組スタッフも

男性。

間違った食材や調理法を選択すると、

「本当にいいの?笑」「これいま何してるの?笑」

とあきれ声で女性に言います。

 

結局

指定された料理は、

手間やコツがいるものが多いので、

失敗する人が多いです。

 

作り終えた後は、

うまくいかなかった料理を画面いっぱいに写して、

作った女性たちに食べさせて「まずい」と言わせます。

 

そしてVTRの締めくくりは

ネチネチツッコミをいれていたおじさまナレーターの

「○○を正しく作れたのは、たった○人しかいませんでしたあ~」

という快活な声。

 

スタジオに戻るとおじさま一同大爆笑。

「すごいねー」「こりゃいかんねー」

 

 

そしてこのあとも一部のフェミニスト論者が火を噴きそうな演出は続きます。

 

スタジオで、「正しい」作り方を実演するのですが、

ここで先生として出てくるのが

 

おじさまです。

 

「女は家庭で料理」というのなら、

主婦代表みたいなおばさま料理研究家でもよさそうですが、

100%おじさま。

 

「こんなことする女の子いるんですねー」

みたいなこといって登場します。

 

そしてプロの技を駆使して料理を仕上げる。

 

おじさまである理由、

それは

「女性が作る料理はがんばっても家庭料理、

おじさまが作るとプロ」

というメッセージを伝えるためです。

 

「やっぱり料理のプロは男だな」

と視聴者おじさまは思うわけです。

 

その後

出演者のおじさま一同、出来上がった素晴らしい料理を見て食べて

「みたか世の女性たち、これが男のつくる料理じゃ」

と我が物顔で嬉しがるのです。

 

 

素晴らしいです。

このコーナーは素晴らしいほど

「男:プロ/女:家庭(料理)」

が徹底している。

「男が女を見下している」ことが常識になっている。

あっぱれ。

 

そして、このコーナーを毎週のように放送するということは、

それだけ楽しみにみている視聴者がいるということですから、

その視聴者層にも、あっぱれ。

これじゃ、セクハラをセクハラなどと思わない人が出てくるわけです。

 

でも僕は、決して

このコーナーをやめるべきだ、とは思いません。

むしろ、続けて

おじさまたちにゲラゲラ笑ってもらいたいと思っています。

 

問題なのは、

視聴者が、スタジオのおじさま達が、

「純粋に違和感なく楽しむ」

ことなのです。異常ですから。

 

おじさまたちがもつ常識は

世の常識とは、ズレていて

無意識のうちに「男(仕事)>女(家庭)」

が染みついているということを自覚する必要があります。

そのうえで楽しんでいただきたい。

 

それを自覚してもらうための解決策とは、ずばり

やって!TRYおじさま」を放送する

です。

以下、おじさまが憤慨するようなプログラムの概略です。

***

街中のおじさまを捕まえて料理をしてもらい、

現場の女性スタッフが、「本当にそれで合っていますか?笑」

と茶々を入れ、

皮肉たっぷりの女性ナレーションとともに

できないおじさまばかりを切り取って編集したVTRを流す。

スタジオに戻ると、女性ばかりの出演者が一同大笑い。

 

スタジオでの実演は、

料理の天才の女の子 に先生になってもらい

素晴らしい料理を作りあげていただきましょう。

***

 

女性にこだわる時点で、性差があるということを強く伝えることになってしまいますから

やって!TRYおじさま」

は本当はよろしくありません。

女性蔑視を改善するために、女性をとにかく持ち上げよう

とやっきになる一部のにわかフェミニストみたいなもんですから。

 

しかし、なにぶんおじさま方のどうしようもなく凝り固まった意識を変えるには、

これくらいドカンとやらないと効果がないように思えるのです。

 

おじさま方には、もっと広い視野を持って

少し違和感をもって

やって!TRY」を楽しんでいただきたい。

 

少しの違和感を持つだけでいいのです。

そのことに気付ける感覚を持つことが一番大事なのですから。

 

わかります。

おばさまが集まって旦那のぐちを言い合って発散する

みたいな浄化作用がこの番組にあること。

 

いろいろな方面から圧力がかかっているおじさまにとって、

この番組は最後の楽園なのでしょう。

 

でも、間違っているものは間違っているのです。

おじさまたちの常識で、傷つく方はたくさんいる。

 

おじさまがこの番組を純粋に楽しんでしまうこと、

そのことこそが、『噂の東京マガジン』を「セクハラ番組」に変えてしまうのです。

 

やって!TRYおじさま」は無理だとしても、

年末にでも、出演者の一人が料理に挑戦するくらい

できないかな、と思います。

 

それだけでも、変わる。

 

ではまた。