今日は雨でよかった。 ―ラジオとくるりの「ばらの花」―
こんばんは
今日はちょっといいことがあった。
今日も雨だった。
ここまで続くとさすがにいやになる。
朝、憂鬱な気分でイヤホンを耳につっこみ、傘をさして歩き始める。
雨だといつもより歩くペースが落ちるので
気持ち早めに家をでて、気持ち早めに歩かなければ電車に乗り遅れてしまう。
なぜ歩くペースが落ちるだろうか。
傘をさしているため腕が振れないから?
水たまりをよけるために大回りするから?
そういう物理的な原因もあると思うけど、
僕の場合は単純で、気持ちが落ち込んでしまうからだろう。
今日も雨空を見上げることはなく下を向いて、とぼとぼと歩いていた。
僕はいつも、ラジオを聞きながらバイトに行く。
朝のラジオは癒しだ。
一日の始まりから癒されていてどうする、と言われそうだが
朝ラジオを聞くと、人の声をきくと、つながりを感じられると、
頑張れる気がするのだ。
こんな朝だから、くるりの「ばらの花」でも聴きたいなーと思って
「あめ―ふりのーあさでー」
と口ずさみながら坂道を上がっているときだった。
「あめーふりのーあさでー」
!?
僕の口ずさみの後を追っかけてくるように
ラジオからまさに「ばらの花」が流れてきたのだ。
・・・まじかよ、未来予知しちゃったよ。
笑いがこぼれてきてしまって
誰も僕の顔なんかみちゃいないのに、反射的に傘で顔を隠す。
横を通る車の水しぶきに負けないように、ボリュームを少し上げる。
なんて、なんていい曲なのだろう。
*
曲が終わると、DJはいつもの透き通った声で曲名を紹介した。
「この曲にリクエストをくれたのは□□さん。今日も雨ですね。こんな朝にはこの曲を聞いて元気を出したいと思いリクエストしました、とメッセージを送ってくれました。ありがとうございます」
いやいや、こちらこそ聞きたい曲リクエストしてくれてありがとうございますって感じだった。
僕は、このラジオ局とも、□□さんとも、気が合うのかもしれない。
ジトジトの朝に「ばらの花」、なんて当たり前っちゃ当たり前だけど
それでも、あんな偶然のタイミングで思いが重なるなんて。
これだからラジオは最高なのだ。
今日は雨でよかった。
ではまた。