多数決って怖い。 ―大阪都構想と中二の春―
こんばんは
こんなに接戦な投票、生まれて初めて見たし
もう一生ないかもしれない。
いろんな意見の持ち主がいるなか
「賛成」「反対」の2つの選択肢しか用意していないのは
なんだか残酷だな、と思った。
いや、厳密には2つ以外にも選択肢はあった。
まず、結果的にどちらの選択にもならなかった無効票を投じた人。
そして、投票権を持っていながら「投票に行かない」選択をした人。
この人たちは、世紀の大接戦に何を思うのだろうか。
*
多数決って怖いよねー
なんて親と話しながら、
中二の春の記憶が蘇ってきた。
僕は学生の頃、クラスでいい感じのポジショニングを確保できる学級委員によくなっていた。
なんとなく勉強できたし、温和で真面目だったから、先生のプッシュもある程度あった。
だから立候補者が僕しかいなくて即決することが多かったけど
僕のほかに立候補する人もいることもあった。
中二の春がそうだった。
全くのノーマークだった男子が立候補した。
簡単に決意を述べて、多数決をする。
ノートを破いて作られた投票用紙に名前を書いてもらい、
先生が机を回って用紙を集めて開票する。
結果が発表されるとき、どきどきした。
「なまもの君18票、はしだ君13票!!」
先生がこういった瞬間、僕は単純にやった!と思った。
でもすぐに、思いのほか相手候補者に票が集まっていたのが気になった。
絶対あいつよりは俺の方が向いていると確信していただけに。
「なまもの君に決定!はい、みんな拍手~!」
先生が呼びかけて教室中が僕を拍手で包んでくれたけど
そのパチパチのなかに、とんでもなく冷たい音が含まれている気がした。
13の冷たい音が。
あの拍手を聞いたときに思ったんだ。
多数決って怖いなって。
それから教卓のところに行って一言言ったときも
ずっと、「誰が僕に入れずに拍手したのだろう」とばかり考えてしまっていた。
*
あれから10年経とうとしているけど
あの拍手の音は、しぶとく僕の耳に残っている。
今回の賛成の声は、いつまで議員たちの心の中に残っていくのだろうか。
ではまた。