ゲソなくて、げっそり。 ―手の届かない過去―
こんばんは
今日、僕が好きな個人経営のうどん屋さんにいったら、
いつもあるメニューがなかった。
ゲソ天だ。
僕は、かけうどんとゲソ天をだいたい頼むので
今回はメニュー選びに手こずってしまった。
ゲソ、つまりイカが不漁なのだそうだ。
不漁なのは2~3年前かららしいのだが
これまでは企業努力でなんとかしていたそう。
それでも手を尽くし切って、
あえなく「販売休止」となったみたい。
イカがとれない、なんていうニュースを聞いたことがなかったので
驚いてしまいましたが
温暖化も関係ありそうで、今後も不漁は長引くのかも。
*
僕は無類のゲソ好きだ。
小さい頃、寿司のネタで一番好きだったのがゲソだった。
食べ初めにゲソ、中頃にゲソ、〆にゲソ。
何皿食べても、飽きない。
上にかかっている甘辛のたれも好きだったし、
なにより足のコリコリがやみつきだった。
「あなたは安いネタが好きで助かるわ」と親に言われた記憶がある。
あなた「は」と言われたのには理由がある。
僕には兄弟がいるのだが、彼の好きなネタはイクラだったのだ。
兄弟揃って高級なネタが好きだと、親も困ってしまうだろう。
兄は〆にしか、自分の好きなネタを食べさせてもらえなかったが、
僕は何皿も食えて、優越感があった。
*
成長してからもゲソ好きに変わりはない。
(寿司は、マグロとかサーモンが好きになってしまったけど。)
だから、ゲソがない世界は困る。
小さい頃いった鮨屋さんは、いまはもうない。
何が入っているのかわからない独特の風味があるあの甘辛いタレも、
それとともに味わうゲソも、
もう2度と口にすることはできない。
いままでは、手の届かないものは未来ばかりだったけれど
20代も半ばになってきて
手が届かない過去も、徐々に徐々に増えてきた気がします。
ではまた。