まっすぐな目の先に ―松谷みよ子『いないいないばあ』―
こんばんは
児童文学作家・松谷みよ子さんの訃報があった。
彼女の名は知らなくとも、『いないいないばあ』は誰もが一度は目にしたことがあるはずである。
僕の両親は、息子に好きなだけ本を買ってあげられるほど余裕はなくて
幼少期は、毎週毎週母に連れられてたらふく絵本や紙芝居を借りてきて読み漁っていた。
近所の図書館の絵本コーナーと紙芝居コーナーは制覇した自信がある。
(いまは新しい絵本とかが追加されているだろうから、その当時は。)
そんな我が家でさえ、『いないいないばあ』は本棚にあった。
他にあったのは、『ぐりとぐら』くらいかな・・・
いつもいつでも、手にとれる環境にあった。
この感触と距離感は、ITと画面では決して代替できない。
*
今日初めて気づいたことが。
表紙のくまさんのおめめが、まっすぐこちらをみている。
子ども向けのキャラクターって、恐怖心を煽らないように
目線をずらして描かれているのがお決まりみたいになっているのですが
絵本の古典ともいえるこの本の表紙は、そうではなかった。
多少左右非対称だけど、まっすぐこっちを見ている。
そして、じっと見ていると少し怖い。
これじゃ、にらめっこしてる子は怖がっちゃうんじゃないか、
と思いましたが
これから生きていくうえで嫌でも目に入ってくる怖いものに対して打ち勝つ訓練を
『いないいないばあ』でしているのかもしれないと考えると
長きにわたり愛されてきた理由がわかったような気がします。
将来子どもが生まれたら絶対買います、と今日決めました。
ではまた。