9の日には、ケーキを。
こんばんは
今日はケーキを食べた。
誰の誕生日でもないけど
我が家では、毎月9の日はケーキを食べる。
小さいころからそうだったから、
なんで「9の日」はケーキを食べるのか
その疑問さえ思い浮かぶことなく
「9の日はケーキを食べるもの」だった。
みんなの家がそうではないことにあるとき気づいた。
多分小学校高学年くらいだと思う。
さては、母がケーキ好きだから理由づけで「ケーキの日」を設定しているのか?
と疑いながら母親に聞いたら、
結婚記念日が9日でしょ、だから毎月食べるの。
と答えた。
それを聞いてから食べる「9日ケーキ」は、
愛がいっぱいだった。
家庭の経済事情上、もちろんホールケーキなどでてくることはなく、
ショートケーキはおろかコンビニのシュークリームくらいなことがほとんどだけど
父は、たとえ残業があったとしても帰りに欠かさず買ってきた。
9日に父が家に帰ってくるとき、僕はドアホンが鳴るとすかさず玄関まで迎えにいってケーキが入った袋を受け取って冷蔵庫に入れるのがお約束になっていた。
思春期のときは、毎月9日にでてくるケーキに辟易することもあったけど
それでも毎月毎月欠かすことなくケーキは出て、家族で食べた。
毎月、毎月。
*
ところで、僕は毎月毎月記念日を祝うカップルがあまり得意ではない。
半年、とかはまだわかるけど
「8か月記念日!」「14か月記念日!」とか、写真とともに投稿する感覚が
僕には絶対ない。
・・・ないんだけど、そんな僕の両親は子どもが成人しても
毎月ケーキで祝っている。
それには、なんら嫌悪感がない。幸せしか感じない。
この差はどこにあるんだろう。
「ケ月記念日」ってツイッターで検索して幸せな他人カップルの写真を眺めながら考えていた。
きっと、「さりげなさ」、なんだろうな。
両親は、そりゃ年に一回の結婚記念日のときは
「結婚記念日おめでとう」ってやるけど
9の日のときは、なにもなく、ただケーキ買ってきて
ただテレビ見て笑いながら、ただ食べるだけ。
決まりのように、淡々とケーキを食べる。
そっけないって感じるかもしれないけど、
多分僕が生まれる前の新婚時代とかはもっと盛大だったのかもしれないけど、
今はこのさりげなさがあるから、毎月祝ってもクドくならないし、
毎月毎月、熟年夫婦に差し掛かっても続けられるのだと思う。
いいともを長年続けたタモリの、
さりげなくて、毎日見てもクドクない感じに似ている。
*
今月のケーキも、おいしかった。
ではまた。