早生みかんは、運動会の味がする。
今週のお題「運動会とスポーツの秋」
僕の運動会の思い出と言えば、これ。
やはり食べることが好きだからでしょうか、
楽しかった思い出には、必ず「あじわい」の記憶がくっついています。
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運動会はだいたい9月下旬。
小学校の運動会は、昼になると校庭でレジャーシートをひいて
家族と一緒に食べるようになっていました。
校庭中に、家族の食卓が、笑顔が、広がるわけです。
ただ、いつもの食卓とは違う、青空の下。
なんだか、ピクニックにきているみたいで楽しかった。
父「徒競走、おしかったな」
僕「やっぱ1位は無理だったよ。」
兄「もっとがんばれよ」
母「午後は何にでるの?ダンスとかどの辺にいるの?」
別に、家族と話してどうこうするわけじゃないんだけど、
話しているとなんだか午後に向けての作戦会議をしている気がした。
今振り返ると、パワーをもらっていたんだなと思う。
そんな会話をしながら
チキチキボーンとおにぎりとプチトマトを食べるのが
我が家の定番。
(中学校になって、教室で生徒だけで食べるようになっても弁当の中身は変わらなかった。)
外で食べるチキチキボーンは、最高にうまいのだ。
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そして、デザートにでるのが、この早生みかん。
母さんが、一人に一つずつ、「はい」「はい」と手渡ししてくれる。
皮むきずらいし、ちょっと固いし、ちょっとすっぱい、この早生みかん。
僕は、甘い真っ黄色なみかんのほうが好きなんだけど
運動会のときの、このみかんは大好きだった。
この緑緑したみかんを見て、
口に入れて、
顔をくしゃっとしながら「すっぱっ!」
って言いながら
ああ、運動会なんだなあと実感できた。
「僕はいま、運動会にいるんだ。」
代表選手が、試合前に国歌聞いて
「ああ、これはオリンピックなのだなあ」
と実感できる感覚に近いのかもしれない。
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今年も、早生みかんをたべた。
食べるたびに、あのころの運動会の記憶がふっと蘇る。
細かくは覚えていないけれど
とにかく、とにかく楽しかった。
そして、
チキチキボーンと
早生みかんがうまかった。
早生みかんは、僕と運動会を深く、強く結び付けてくれるもの。
この結びつきは、一生変わらないのだろう。
おじいちゃんになっても、このみかんを食べると
校庭に咲く家族の笑顔が蘇るのだろう。
手渡してくれた母の手に刻まれたシワまで、思い出すのだろう。
早生みかんは、運動会の味がする。
ではまた。