僕が好きなのはシシャモじゃなくて、カペリンだった。
こんばんは
北海道産むかわ町生干ししゃも (メス5L10尾・オス大10尾)(カネダイ大野商店) 【北海道むかわ町】【産地直送】【ししゃも】 【お取り寄せ】【子持ちししゃも】【北海道グルメ】
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僕は、シシャモが好きなはずだった。
小さいころは、誕生日に食べたいものは何って聞かれたら
シシャモって答えていた。冗談じゃなく本当に。
頭と尾っぽをまず食べて
卵のぎっしりつまった腹を口いっぱいに頬張るのが僕のシシャモスタイル。
つまり、メスが大好き。
皮・身・卵
これが絶妙なバランスで口の中で混ざると
幸せの波が押し寄せてきて、
余韻に浸る間もなくまた次のシシャモへと手を伸ばす。止まらない。
一般的には酒肴のイメージがあるから、
シシャモを微笑みながら夢中で食う幼稚園児は
今考えると、異様だったと思う。
僕は、シシャモが好きなはずだった。
*
「みなさんの食卓に並ぶようなシシャモは、
シシャモじゃありまっせーん!!」
今日家族と夕食を食べていたらテレビからこんな言葉が飛んできて、
僕はテレビに釘づけになった。
えっ!?・・・えっ!?
本当に信じられないときって、
「えっマジかよ」って思うことさえも信じられないから、自然と言葉を失う。
しばらく思考停止して、ジワジワと現実を浸透しはじめる。
*
シシャモは世界的にみても北海道の一部海域でしか取れないレアな魚だということ、
シシャモの漁獲高が減少したことにより
海外産のカペリン(カラフトシシャモ)を「シシャモ」として販売していることが多く、家庭の食卓に上がるのは、ほぼカペリンだということをテレビでは伝えていた。
カ・ペ・リ・ン
僕の辞書にカペリンはなかった。
急いで脳内単語登録しながらあることを期待してテレビを見ていたけど、
・・残念ながら、シシャモとカペリンの味は、違うらしい。
現実は残酷だ。
せめてこの衝撃を家族と共有して気を落ち着かせたいと思って話しかけた。
僕「えっ、いままで食べてきたのってシシャモじゃないんだ」
父「そうだよ」
!?
そうだよって、軽く言わないでよ。
息子は20年以上も「好きな食べ物はシシャモです」って言い続けてきたんだぞ。
一応聞いてみた。
僕「本当のシシャモも一回くらい食べたことあるよね」
父「多分ないね。一回くらい食べてみたいよな」
うわ。やっぱりなかった。
僕は食べたことないものを好きって言ってた。
江頭2:50の上戸彩のモノマネだけみて、「上戸彩大好き!」って言ってたようなものだった。
微笑みながら夢中で食ってた魚は、シシャモじゃなくてカペリンだったんだ。
カペリンカペリンカペリンカペリンカペリン・・・
僕の歴史のどこかがドドドって崩れ始める。
いままでの全思考の「シシャモ」は「カペリン」に書き換える必要があるらしい。
「誕生日に何食べる?」「シシャモカペリン!」
「僕の好きな食べ物は、シシャモカペリンです」
「シシャモカペリン食べたいなあ」
「すみません、シシャモカペリンってどこに売ってますか」
カペリンっていう音の響きが、一層僕の頭をぐちゃぐちゃにさせる。
*
しかし偽シシャモだとしても
僕が好きだという事実は変わらないのだ。
僕はカペリンが好き。
僕はカペリンが好き。
大事だから2回言い聞かせる。
カペリンに騙された気もするけど、憎むわけにはいかない。
でもなあ、食べてみたいよ。シシャモ。
今日は寝付けそうにない。
ではまた。